TESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages; 英語教授法)の世界的権威であり、アナハイム大学のデビッド・ヌーナンTESOLインスティチュートのオンラインTESOL認定およびTEYL(Teaching English to Young Learners)認定プログラムを開発・監修を務めるデビッド・ヌーナン博士に、「学習者中心の授業」というテーマの下、話を伺いました。

Dr. David Nunan

AU: アナハイム大学のミッション・ステートメントでは、学生が中心であることが含まれています。ヌーナン博士は「学習者中心のカリキュラム」(The Learner-Centered Curriculum)という本を執筆されましたが、学習者中心とはどういう意味なのでしょうか。また、なぜ学習者中心のプログラムの開発が重要なのでしょうか。

ヌーナン: 私は学習者中心でいることしかできないのです。教育は学習者がすべてです。学習プロセスの中心は彼らです。教師として、学生のために勉強してあげることはできません。究極的には、成功するためには彼ら自身が学習をしなければいけないのです。我々の教師としての仕事は学習機会が最大限になるよう、学習環境を構築することです。学習者は一人一人異なり、学習方法もそれぞれに違うため、このフィロソフィーを受け入れることは、大きな問題と向き合うことになります。30〜40人いる教室内で、一人一人異なるニーズに応えるのは大変です。そこで、学習プロセスを変える必要があります。この10〜15年間で、この問題はテクノロジーによって解決されました。今日、私たちは個別指導を実現するツールを持っています。

AU: 90年代後半にアナハイム大学のプログラムが開始された当時、ヌーナン博士は授業内容を事前にメールで送っておられました。これは今日では反転授業(flipped learning) として知られていますね。なぜこのやり方を始められたのでしょうか。また、どうして重要なのでしょうか。

ヌーナン: 私は「flipped learning(反転学習)」よりも「scaffolded learning」という言葉を使うようにしています。反転学習という言葉の意味合いは学習者中心というコンセプトと経験主義のフィロソフィーに基づく素晴らしいものだと思うのですが、私はなぜかその言い方が好きではないのです。反転学習は学習者に特権を与えます。授業などの体系化された学習経験の前に、情報(知識ではなく)にアクセスすることが可能です。

AU: リアルタイムの授業でたくさん詰め込みすぎたと思うことはありますか?また、ほかに先生が授業で意識しておかなければならないことはありますか?

ヌーナン: 問題は、授業の中のたった10%の情報しか試験で思い出してもらえないということです。いつもリアルタイムのオンライン授業ではたくさんのことを詰め込みすぎます。オンラインのメディアや学生がそうさせるのです。少人数のグループディスカッションや模擬授業に参加するより、座って聞いているだけの方がエネルギーを使わなくていいですから。授業する側は慣れてしまえば簡単です。リスクが少なく、体験的な学習機会を提供しようとするのに比べ、時間も少なくて済みます。さらに学生に要求することも少ないので成績も良いことが多いです。

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