学習の世界に従事する人たちを指す単語について考えてみてください。先生 (teacher)(一番よく使われる言葉です)、インストラクター (instructor)、チューター (tutor)、デモンストレーター (demonstrator)、教授 (professor)、教育者 (educator)・・・など、いくらでも挙げられます。ここでは「インストラクター」(instructor)と「教育者」(educator)の違いについて考えてみたいと思います。では始めましょう。

少し前に、香港で開催されたパーティーに私が参加したときのことです。主催者は自分の奥さんの「節目の誕生日」を祝うため、このパーティーを開きました。奥さんの年齢ははっきり述べられていませんでしたが、すぐに50歳の誕生日だということに気が付きました。会場には知っている人は一人か二人しかいませんでしたが、気が付くと、ダイニングテーブルの端に座っており、隣には感じの良い若い女性が座っていました。その女性は見た目は中国系に見えましたが、イギリス英語を話しました。コース料理の間、女性が実際にマレーシア系中国人であることと、イギリスに移住し、イングランドで教育を受けたことを知りました。そして、彼女の向かいに座っていた男性が彼女が何をしている人なのか聞いてきたことをきっかけに、3人で会話をし始めました。

「教師です」と彼女は答えました。 

「そうなんですか。何を教えているのですか?」

「子どもたちを教えています」

質問をした男性は少し驚いていたようでした。明らかに彼は「数学」や「地理」など、何らかの専門科目の答えを期待していました。その後、男性はすぐに話題を変えました。

ディナーの後、テラスでコーヒーを飲んでいた時に、私は先ほどのディナーテーブルでの会話に戻りました。
私は、「何の科目を教えているのですか?」と聞きました。すると、「科目は英語です」と彼女は答えました。そして続けて、「でも私は自分のことを子どもたちを教える教師であることがまず第一で、言語を教える教師であることはその次だと思っています」と言いました。

私たちの会話はテーブルの別の端に座っていたイギリス人男性に話しかけられ、そこで途切れてしまいました。彼女はその男性を夫だと紹介してくれました。

運転手が待っていたらしく、2人とももう行かないといけないと言い、私は彼女に、教師 (teacher)よりも教育者 (educator)であると考えた方がいいと伝えることができませんでした。

(後編へ続く) 

 

【デビッド・ヌーナン教授】Dr. David Nunan

TESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages; 英語教授法)の世界的権威であり、アナハイム大学のデビッド・ヌーナンTESOLインスティチュートのオンラインTESOL認定およびTEYL(Teaching English to Young Learners)認定プログラムを開発・監修を務める。多くの著書が世界中で教科書として使用され、「Go For It!」シリーズは全世界で累計2.5億部の売上部数を記録。2000年にはTESOL協会(言語教育分野の世界最大の学会)の会長を務めた。本学ではTESOL修士課程にて教えるほか、これまで香港大学やコロンビア大学(アメリカ)、上智大学、チュラロンコン大学(タイ)、マッコーリー大学(オーストラリア)などの一中大学での指導経験を持ち、徹底した学習者中心の教育を掲げ、1996年のアナハイム大学設立時より、本学とともにオンライン教育を牽引している。

 

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